彩雲国物語掛け合い台本

CV
紅秀麗:溟月
茶朔洵:かずき

編集:溟月

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秀麗:あなたね、もうすぐ選定式でしょう。なんで準備もしないでお酒なんか飲んでるわけ?
朔洵:うん・・・出る気ないから
秀麗:ほん当に何もかもに遣る気がない男ね。
朔洵:私は君と過ごせる最後の日ということのほうがずっと大切なんだよ
秀麗:まったく。
朔洵:ねぇ、髪結ってくれないかな
秀麗:私はあなたの侍女じゃありません。そういうのはほかの人に頼んで。
朔洵:君以外はいやだ。髪を結って、お茶を淹れてくれる?
秀麗:いいわ。これで最後だし
秀麗:なんだか静かね。もしかして飲みすぎ?気分でも悪いじゃない?
朔洵:違うよ、わたしはお酒には強いんだ
秀麗:そう言えば、あなたが酔っているところを見たことがないわね。
朔洵:そうだろう
秀麗:はい、おしまい。選定式にでないなら、今日はゆっくり寝てなさい。いま、白湯を入れてあげるから。
朔洵:甘露茶のほうがいいな
秀麗:だめ。
朔洵:どうして?
秀麗:どうしても。いつもと印象が違うわね。何か閑散としているような・・・で!茶葉は甘露茶しかないじゃないの!
朔洵:君は私との結婚もあっさり突っばねてしまったし、最後に少しくらいの甘い想いを味あわせてくれたって罰は当たらないと思うんだ。
秀麗:<そこまでして甘露茶を飲みたいのか、この男は!>はい。ただのお湯。
朔洵:私が心配?
秀麗:そうね。いつもより輪をかけておかしい気がするから。ちょっと心配ね。
朔洵:優しいな。じゃ、飲む。ほら、飲んだよ。だから、今度こそ甘露茶を淹れてほしい。
秀麗:だめ。あなた、お酒を飲んでるでしょう?それもかなり。甘露茶じゃとお酒と変な風に混じって、具合は悪くなるかもしれないよ。今日は白湯だけにしてゆっくり寝なさいよ。
朔洵:具合が悪くなったって構わない。だって君に淹れてもらえるのは、今日が最後だからね。
秀麗:あのね。
朔洵:甘露茶を淹れてくれないと、私は死んでしまうよ。
秀麗:子供みたいなこと言って。まったく、仕方ないわね。ねえ、約束は覚えてる?
朔洵:もちろん、「蕾」ならちゃんと返すよ。君も何とか忙しいだろうから、全部片付いたと思ったら、おいで。
秀麗:なんなら、いま返してくれたて構わないのよ。いいえ、むしろとっとと出しなさいよ。
朔洵:そんな夢のない。夢、この私が?
秀麗:どうかした?
朔洵:いや、なんでもないよ。
秀麗:そう。体は大切にしないとだめなんだから、今日は白湯だけよ。

朔洵:指が動かなくなってきた。早くおいで。君は期待を裏切ることはない、だから早く。
秀麗:なんだって、こんなわかりにくいところにいるのよ。あなたは。ちょ・・・何?なんなの・・・これ。血?病気だったの、あなた。
朔洵:約束だったね。君の大切なもの。
秀麗:いまはそれどころじゃ。
朔洵:君は、君は結局白湯しかくれなかった。
秀麗:え?
朔洵:<あの白湯にはまだ私の中に耐性もついていないゆっくりと効いてくれる毒が入っていたんだ>
秀麗:昨日までなんともなかったじゃない。
朔洵:<そして甘露茶にはそれを中和する薬が刻んであった。>
秀麗:元気にふらふらしてたくせに。どうしてこんな。
朔洵:<甘露茶を淹れてくれないと、死んでしまうと言ったのは真実だったんだ。>
秀麗:ねえ、これ、単に喉かきれたとかなんでしょう?
朔洵:<本当は真実を言おうと思ったんだ。私を殺したのは君だよと。そうすれば、君は私を忘れない。君にとっての特別になれると思った。>
秀麗:薬!何か常備薬とかないの?
朔洵:<生まれて初めて自分以外の誰かのために何ができると考えた。そうすると、どう考えても、君にとって、一番邪魔なのは私だった。でも、ほんの少ししゃくだったから、最後の賭けを用意したんだ。それを君は苦もなく乗り越えた。>
朔洵:ふふ
秀麗:何笑ってるのよ。ばか。薬はどこよ。
朔洵:いつも怒らせていたな。一度笑った顔もみてみたかった。
秀麗:薬はどこ?
朔洵:<最後まで残るとすれば耳。>二胡を弾いてほしいな。
秀麗:ふざけないで。もういい。影月君を呼んでくる。
秀麗:何?
朔洵:君は一度も私の本当の名を呼ばなかったね
秀麗:離して、影月君を呼んでくるの。
朔洵:君にとって、私は何番目だろう。
秀麗:離して、お願い。
朔洵:君のせいじゃないけれど、ついでだから、「茶朔洵」を君にあげるよ。
秀麗:まさか、私のせい?
朔洵:佳人薄命というじゃないか。不治の病はいい男にはつきものなんだよ。
朔洵:<言わぬまま行くつもりだったのに、最後の最後で、こんな。>
朔洵:愛してるよ。君の二胡も、君の淹れてくれたお茶も、君のすべてを。
秀麗:そんな言葉でお茶を濁ごそうったってそうはいかないんだから。言うだけを言っていこうなんて許さないわ。名前なんて呼んでやらない。何で呼べばいいのよ。私は若様しか知らない。私の名前だってあなたはちゃんと呼ばなかったわ。待ってて。
朔洵:私との賭けに勝つのは君だ。君は本当に特別だったんだ。死ぬ時は未練などなくいくものだと思っていた。名前を呼んでもらえたかった。もっと二胡が聞きたかった。もっと一緒に過したかった。愛してると言わせたかった。
朔洵:月はどこだ。秀・・・麗・・・

<想いで>

秀麗:茶朔洵。

***終わり***